てんかん
大脳の神経細胞から不適切な命令が出ることによって、身体の一部の動きが正常ではなくなる疾患です。意識を失い体が強直する全身性の症状や、意識はあるのに身体の一部が動かなくなる症状、意識を突然喪失する症状など、その症状は多岐にわたります。
診断には、正確な問診、血液検査、脳波検査、MRI検査が必要です。治療は原疾患の治療と発作のコントロールです。適切な抗てんかん薬を用いることが重要です。
認知症
どうぶつ医療では認知機能不全症候群と呼ばれ、老化に関連して、認知力の異常、刺激への反応性の低下、学習・記憶の欠損などが生じる病気とされています。無目的に歩き回る、おもちゃで遊ばなくなる、怒りやすくなる、睡眠サイクルが変わる、トイレを失敗する、呼びかけに反応しなくなる、などの症状が良く見られます。
残念ながら決定的な治療法はありませんが、行動療法、生活環境の改善、接し方により有用な刺激を与えることなどが、認知機能不全の進行を遅らせることができると言われています。
椎間板ヘルニア
脊椎の間にある椎間板の一部が飛び出し、脊髄を圧迫することによって、痛みや麻痺を発症する病気です。症状は突然生じることも多く、迅速な外科的対応が求められる場合もあります。急性の完全麻痺を発症した患者の約8%には進行性脊髄軟化症という現在の獣医療では治療困難な病態も生じます。
診断には、正確な神経学的検査、電気生理学的検査、MRI検査が必要です。外科治療が適応になった場合、リハビリテーションを行いながら良好な結果を得られることが多いです。
変性性脊髄症
脊髄、末梢神経の機能が徐々に障害される病気です。人の筋萎縮性側索硬化症と似ている疾患と考えられています。比較的高齢で発症する遺伝子異常に原因を持つ疾患です。現在の医療、獣医療では治療法は見つかっていませんが、リハビリテーションにより機能の喪失を先送りにすることが期待されています。
一度失ってしまった機能を回復させることは難しいため、早期の診断・リハビリテーションの開始が求められます。
多発性筋炎
自己免疫疾患と考えられている筋の疾患であり、全身の様々な筋に炎症が起こり、疼痛や力が入りにくい、動きたくない、ぎこちない歩様などを示すことがあります。症状が多岐にわたるため、臨床症状からは診断がつきにくく、椎間板ヘルニアと誤診されることがよくあります。
成書には発症が稀とされていますが、これまでに見つけることができなかっただけであり、筋電図検査、筋生検を実施することで診断が可能です。早期診断・治療を実施することで良好な経緯をたどることが多い疾患です。